紙に書いたら嘘にしか思えない、業とらしいと思えるような劇的な逆転勝利でＪ１自動昇格枠である２位を決めてしまった、試合だけに何も言う必要は無いのだが。
試合に入って先制点が欲しい山形が中盤を飛ばし、リスクを抑えた攻撃に出るものの、やはり幾ら今日ろくなＦＷでもボールを収めることも、裏に抜けることも出来ない。高さで競り勝ってもサポートまでの距離が長く、セカンドボールを拾われる展開、そして愛媛は拾ったボールを丁寧に繋いで攻撃に出てくる。勿論山形ＤＦ陣もしっかり抑え、流れからの攻撃をしっかりとブロックして得点を与えない展開が続く。そして得点が動いたのは前半１０分に愛媛が得たＦＫを青野が左足で振り抜くとＧＫ清水から逃げるようなコースに跳んで山形ゴールネットを揺らす。失点から僅か２分後に右サイドでフリーになっていた豊田がボールを受けるとすかさずドリブルでゴールに向かう。ゴール前正面に相手ＤＦを背負うような形でボールを受けた長谷川、そのボールを貰う様に右サイドをパスアンドゴーで走りこむ豊田。僅かに相手ＤＦが豊田に注意が向くと豊田と逆方向にターンして降りぬいたシュートは相手ＧＫをかわすように左程強くは無いシュートが愛媛ゴールネットを揺らす。２分で追いついた山形と先制点を奪ってホーム最終戦を何とか勝とうとする愛媛との一進一退の攻防が続く、前半にまた得点が動いたのは３５分過ぎ、またまたＦＫを得た愛媛。青野が左足で山形ゴール前に放り込むと愛媛攻撃陣がニアに走りこむ、ＧＫもニアによるものの、誰にも触れる事無く逆サイドのワンバウンドで入ってしまう。
最初のＦＫでは壁作り方に問題があったことは否めない。２本目は山形ＤＦ陣が触りたかったのだが、触るとオウンゴールの可能性もあったからなのか。この部分は来期の課題となりそうだ。そして前半終了間際、石井の怪我で急遽登板となった園田が、センターサークル付近でボールを奪うと、中央に走りこんでいく豊田をめがけて放り込むと、豊田が強引に相手ＤＦをかわし、強烈なシュートを打つものの、クロスバーに当ってしまう。これにて前半終了。豊田はこの日の前半、惜しいシュートを２本外したことになる。
後半は前半に比べ、落ち着いて入ることが出来たが、引いて守る愛媛をなかなか崩せない。そんな中で食らったカウンターからのヘディングシュートは清水が前節犯したミスを帳消しするようなスーパーセーブで難を逃れる。後半得点が動くことが無く時間だけが過ぎて行き、残り５分からレオナルドを上げてパワープレーに出る。このときレオナルドをトップの位置に入れ、２列目に財前、豊田、長谷川の３枚を並べ、放り込んだボールを３人で拾ってゴールに繋げ様と、１本の指と３本の指を立てて指示を出す。山形ＤＦ陣が放り込んだボールを豊田と愛媛の選手が競るところで相手が腕を使ってファールを犯す。ここまで愛媛よりに吹いているように見えた早川だが流石にこのプレーは見逃せなかった。そして右４５度から石川の左足が放ったボールは綺麗な弧を描いて、相手ＧＫが微動だに出来ないほどのシュートがゴールネットを揺らして同点に追いつく。これで満足せず、喜びを一瞬表すものの、直ぐに所定の位置に付く。
ロスタイム３分から始まったキックオフから愛媛が攻め込むもののゴールを許さない。愛媛ホーム最終戦であったことやここまでリードしていたこともあってバランスを崩して攻撃に出てくる。その攻撃を何とか凌いで石川がボールを持った左サイドの逆サイドに広大なスペースがぽっかりと開いていた。そこには味方の財前しかおらず、精度のよいロングフィードを送ると、財前がすかさずドリブルで駆け上がり、中央に入りこんでくる。相手ＤＦがブロックを敷くと、それを切り返して左足でシュートに行こうとしたところに渡辺が走りこんでくる。財前が何とか足を降らずに渡辺が放った右足のシュートは惜しくも相手ＤＦのブロックに会うものの、毀れたのが豊田の前、ここまで散々外してきた豊田でも流石にこのボールだけは見事に流し込んで逆転。もう既にロスタイム３分の内２分を過ぎていた。
その後も無難に守って劇的な逆転勝利を掴むこととなった。技術云々も確かにあるのだが、やはり最後の最後は気持ちなんでしょうかねえ。絶対に勝って昇格するという気持ちが逆転に繋がったんだろうなあ。と思うしかない素晴らしい逆転劇でした。もちろん不味い部分も多少はあるのでしょうが、それはこれから作っていくしか無いでしょうね。
