春先から苦しいシーズンだった山形が、天皇杯鳥栖戦を起点にシステムを代え、リーグ戦では水戸戦で上手くボールが運べずサイドを破られる展開が続く中で３バックに変更し、項を奏した事から、どんどん順位を上げて行った。もちろん愛媛戦等で目を覚まされるようなこともありました。また４０節では、山形が勝利するものの順位の移動は無いかと思われた中、水戸が大分戦のロスタイムで逆転するという奇跡的な事が起きました。山形にとってこれが最初の奇跡的なことかもしれません。最終節ホーム東京Ｖ戦で破れ、一旦はあきらめかけたプレーオフでしたが、ここでも大分が湘南に破れ、６位でプレーオフに踏みとどまりました。水戸が絡んだ試合で、山形にとって良い方向に向いたシーズンだったかもしれませんね。
プレーオフ準決勝は既に皆さんご存知のように後半ロスタイム２分のところで、捨て身のＧＫを上げたＣＫで、そのＧＫ山岸がゴールネットを揺らすという、Ｊリーグ始まって以来の、まさにミラクルな展開で勝ち上がりました。最後のプレーオフ決勝戦は、天皇杯準決勝で戦った相手である千葉。北九州がＪ１ライセンスが無いためプレーオフ準決勝が免除され、十分な休養と、また天皇杯では６人を入れ替えて、山形の新しい布陣をしっかりと分析してきた千葉と対戦する山形は、やはりディエゴの復帰は間に合いませんでした。戦前の予想では千葉有利は動かない中で決勝戦を迎えた。
その決勝戦は前半から中盤での潰しあいの中、徐々に千葉ボールをキープする時間が長くなり、少しづつラインを下げさせられた山形。１本目のＣＫは中村が直接ゴールを狙うようなボールを蹴ると、山岸も負けじと描き出す。その次のＣＫでは、小柄な町田のヘディングがドンピシャでヒットするものの、僅かに枠を外してくれた。このとき山岸がゴールポストに直撃するものの、大事に至らなかった。得点が動いたのはやはりセットプレーでした。どうしても相手ＧＫ高木からゴールを奪いたかった宮阪が直接ゴールを狙うボールを蹴ると、こちらも何とか掻き出すものの、宮阪のところにボールが転がり込み、フリーで上げたボールを、その前に１本バックヘッドを練習するようなシチュエーションをこなしていた山崎が、相手の寄せをブロックしながら頭であわせ、相手ＧＫの横をゆっくりすり抜けるようにゴールマウスに吸い込まれた。そのゴールが決まったのが前半３７分。ゴールを決めた山崎が「ヨッシャー」と叫び声を上げたのがＴＶから聞こえるようでした。その後まま後半に折り返しこの試合。山形が得点を上げるまでは引き分けでも昇格と言う条件だった千葉だったが、逆に山形がこのままで行けば昇格と言うプレッシャーがのしかかることになるのだが、後半残り５分まで微塵も感じさせないプレスを前線から掛け続けることが出来ました。千葉もここから決定的なシーンを何度も作り出し、山岸のファインセーブやその跳ね返りをクリアーする守備陣が続く。前半決定的なヘディングシュートに行った町田でしたが、ファアサイドでフリーでいた森本に出すことが出来ず、松岡にクリアーされるシーン等があったものの、何とか逃れていたが、ケンペス、田中と上背も力もある選手が途中出場してくると、山形の松岡に代えて船津を投入。それでもどんどん攻め込んでくる千葉に対して防戦一方となるものの、ＧＫ山岸が踏ん張り後半ロスタイムを迎える。相手右サイドからＰＡに侵入され、ＧＫ山岸が交わされた時には万事休すかと思いきや、交わされた位置から戻っていた山岸がまたしてもファインセーブ。このボールを谷澤に拾われるものの、多人数で奪い取りクリアー。そして１−０のまま主審のフォイッスルを聞く事に成功し、石崎１年目で昇格を決めることに成功した。
なお春先には石崎監督が優勝して昇格をすると岡田元日本代表監督に約束されておりましたが、Ｊ２優勝は逃しましたが、プレーオフ優勝を果たすことが出来たので、何とか約束を果たすことが出来たのではないかなあと思っておりました。
さて来週にはＪ１のリーグ戦も終了し、Ｊリーグの公式戦のスケジュールは全て終わっております。残しは天皇杯決勝のみ。Ｊ１リーグ優勝を果たしたＧ大阪は、現在日本で一番強いと思われるチームです。そのチームに戦いを挑むのですから、山形にとって失うものは何も無い。思い切って今年やり続けたプレーをやりきるのみです。出来れば満員の日産スタジアムで試合をする事が出来るなら、この経験は一つの財産になるものと思います。もちろん優勝すれば、Ｊリーグでこのタイトルを取ったことのあるチームは１３チームしかなく、その中の横浜フリューゲルスは既にもう存在しておりません。そこに名を連ねることが出来れば最高でしょうね。まだ東北チームでこの天皇杯を勝ち取ったチームがいないだけに、欲しいタイトルであることは間違いないが、それでもやることは何時もどおりのプレー。頑張ってもらいましょう。
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